オフィスづくりのコラム

COLUMN

採用のカギを握るのはオフィス環境
学生を惹きつける空間の条件とは ?

2021.7.30
  • インテリアデザイン

少子高齢化が進む日本では、就労人口の減少によって今後、採用活動が難しくなるのではとお悩みの企業も多いのではないでしょうか。

リーマンショック以降「売り手市場」が続いていましたが、新型コロナの影響を受けて、学生側の価値観や会社選びにも変化が起こっています。依然として、学生への積極的なアピールが採用活動において重要となると予想されます。

ここでポイントとなるのは、企業が学生に対して効果的なアプローチをできているかどうか。企業の採用活動では「自社が伝えたいこと」ばかり発信しがちですが、同様に「就活中の学生が何を知りたいのか」を考えることも大事です。

学生が会社選びで重視しているポイントを押さえることは、学生への効果的なアピールへとつながるでしょう。

多くの学生が会社選びで「オフィス環境」に注目している

それでは、学生は会社選びの際に、どのようなポイントを重視しているのでしょうか。

オカムラでは、「学生が会社を選ぶ際に、オフィスがどの程度影響をしているのか」を調べるため、新卒1年目の会社員500名を対象に調査を行いました。

すると、半数以上の人が「会社を決める上でオフィス環境を重視した」と回答。会社選びの基準の中に、「オフィス環境の良し悪し」を入れている人が多いことが分かりました。学生にとって、これから働くことになるオフィスの環境は、重要なポイントであるようです。

この結果には、近年、大学が導入を進めている「ラーニング・コモンズ」や「アクティブラーニングスペース」といった学習支援施設の存在が大きいのかもしれません。情報通信環境が整い、自習やグループ学習用の家具や設備が用意された開放的な学習空間は、今では全国の7割程度の大学で設置されています。このような充実した学習環境の中で過ごしてきた「目が肥えた」学生たちは、就職先にも良い環境を求めるのではないでしょうか。

学生は、執務フロアの「清潔感」「社員の活気」「スペースの余裕」を見ている

ふたたび、調査結果へと戻りましょう。先ほどの調査で、「会社を決める上でオフィス環境を重視した」と回答した人たちに、具体的にオフィス内のどのスペースを重要視したのかを聞いたところ、6割の人が「職務スペース」と回答。「職務スペース」にピンと来ない方は、普段仕事をしている執務フロアを想像していただけると良いかもしれません。つまり社員が実際にデスクを並べて働く空間に、注目している人が多いことがわかりました。

続いて、「職務スペース」の印象を決定づける要素について調べるため、「職務スペース」に良い印象を抱いたときと悪い印象を抱いたとき、それぞれの理由についても聞いてみました。

結果を見ると、「職務スペース」の印象を左右するのは、「清潔感」「社員の活気」「スペースの余裕」が関係しているようです。これらは、学生を惹きつける魅力的なオフィスには欠かせない要素であると言えるでしょう。少なくとも学生からマイナス評価を受けることがないよう、オフィス環境の整備をするとともに、学生に対して自信をもって見せられる職務スペースをつくっていくことが重要です。

オフィスを効果的にアピールすることが、他社との差別化をもたらす

冒頭でもお話しした通り、企業の採用活動においては、学生が求めているものを考える視点が大切です。ところが、学生がオフィス環境の良し悪しを重要視している一方で、同調査内で「志望した企業の中でオフィスを見せてくれた企業の割合」を聞いたところ、「0~2割」と答えた人が、全体の半数以上を占めることがわかりました。採用活動の中で、自社のオフィス空間をアピールしている企業は少ないようです。

これは裏を返すと、自社のオフィス空間を採用活動の中でうまく活用できれば、他社と大きく差別化できるということ。従業員がイキイキと働き、活気のあるオフィス空間を積極的に学生に公開していくことが、採用活動の成功へと繋がる近道となるかもしれません。

参考文献:学術情報基盤実態調査(令和2年度版)/文部科学省/2021年 [参照日:2021年7月13日]

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イラスト:ウラケン・ボルボックス