オフィスづくりのコラム

COLUMN

オフィスの「一人当たり面積」は20年間でどう変わった?
データから読み解く変化の兆し

2022.9.30
  • レイアウト

長年オフィスづくりにおける基準として用いられてきた指標に、「一人当たり面積〔㎡/人〕」という数値があります。これは、オフィスに用意された座席の数を基準に、ワーカー1人に対して作業面積がどれぐらい確保されているかを示したものです。

オフィスの運営コストだけを考えれば、効率的に家具をレイアウトし、できるだけ多くのワーカーが密集して働く環境にしたほうが望ましいと言えます。しかし、人口密度が高すぎるオフィスでは、快適に過ごせない、周囲が気になって仕事がはかどらないというワーカーも出てくるでしょう。

効率性と生産性を両立できる「一人当たりの面積の設定」は、オフィスづくりの重要なポイントなのです。

20年近く減り続けていた「一人当たり面積」が、この5年で増加

本稿では、オカムラが集めたデータから、オフィスの平均的な「一人当たり面積」を算出した結果をご紹介します。なお下記の図が表すのは、ワーカーが仕事をするための机やイスがある執務エリアの一人当たり面積であり、会議室や役員室といった居室は対象外となっています。

※算出方法や調査対象などの詳細ついては、以下のリンクを参考にしてください。

グラフを見ると、20年近く「一人当たり面積」は減り続けてきましたが、直近5年ほどで増加に転じていることがわかります。このトレンド変化は、「ABW」と呼ばれる、仕事の内容に合わせて場所を選ぶ働き方が浸透してきたことと対応しており、このことが影響していると考えられます(ABWに対応したオフィスの増加については、こちらの記事もご覧ください)。

まとめ

コロナ禍以降、テレワークが広まったために、オフィスづくりはますます複雑になってきています。ニュースを見ても、テレワーク主体の働き方を進める企業もあれば、コロナ前のようにオフィスで働くことを前提とした働き方を目指す企業もあり、従業員に求められるオフィスへの出社頻度が企業によって変わる可能性があります。

この出社頻度の設定は、各企業がオフィスにどんな役割を求めるのかを表す指標となり、今後のオフィスづくりの鍵になってきそうです。場合によっては、「1人当たり面積」を出社頻度別に考慮する必要が出てくるのかもしれません。引き続きオカムラでは、トレンドを注視しながら有用な基準や考え方を模索し、情報を発信していきます。

イラスト:ウラケン・ボルボックス

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