働き方・働く場の研究と視点

KNOWLEDGE

テレワーク制度の現在(いま)を知る〈前編〉

2022.6.24
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コロナ禍をきっかけに普及が進んだテレワーク。
各企業でどのように制度が設けられ、
人々はどのように活用しているのでしょうか。
オカムラでは勤務先にテレワーク制度が導入されているオフィスワーカー2,551名を対象に、
導入されているテレワーク制度の内容や、
その評価を問うアンケート調査を2022年4月に実施しました。
前編では、その結果のなかからテレワーク制度の導入と実態についてお届けします。
POINT:
・コロナ禍を契機に、従業員規模にかかわらず恒久的なテレワーク制度の導入が急速に進んだ
・テレワークの頻度は、制度上の制限に沿って働いている人が多い一方で、制限がない場合の実施頻度は人によってさまざまだった
・ノートパソコン、オンライン会議システム、チャットツールはコロナ禍によって導入が進み、8割以上の人が使えるようになった


テレワーク制度は
いつ導入された?

テレワークとは、情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない働き方のことを指します。
また、在宅勤務のみならずシェアオフィス勤務などもテレワークの一つの形です。
今回の調査では、はじめにテレワーク制度が導入された時期について聞いてみました。

回答者全体の結果を見てみると、「コロナ禍で恒久的な制度ができた」と回答した人は半数以上で、「コロナ禍で一時的な制度ができた」人は2割以下でした。
次に従業員規模別に見ていくと、従業員数が多い企業に勤務する人ほど「コロナ禍前から恒久的な制度があった」と回答する人の割合が多い結果となりました。一方で「コロナ禍で恒久的な制度ができた」と回答した人の割合は、どの従業員規模の企業でも4~5割でした。
コロナ禍で恒久的な制度の整備が、従業員規模の大小を問わず進んだようです。


どんな場所で
テレワークをしている?

次に、テレワークをする場所について調査しました。

テレワークをする場所に関しては、ほとんどの人が在宅勤務を認められているようです。また、サテライトオフィス(所属組織以外が入居する自社オフィス)で働くことを認められている人は4割でした。しかし、コロナ禍の影響なのか直近1カ月の自宅以外の利用率は低い傾向にありました。


テレワークの
頻度

次に、どのくらいの頻度でテレワークが認められているのかを調べました。

「出社率や在宅勤務頻度をどの程度に設定するのか」といった議論がありますが、今回の調査ではテレワーク頻度について「制限がない」と回答した人が5割以上となりました。
さらに、恒久的なテレワーク制度のもとで働いている人たちと、一時的なテレワーク制度のもとで働いている人たちとのあいだで認められている頻度に違いがあるのかを見ていくと、いずれも「制限はない」と回答した人が5割程度となり大きな差はありませんでした。
次に、回答者の直近1カ月のテレワーク実施頻度を調査しました。

テレワークが認められている頻度ごとにグループ分けして回答を見てみると、制度で認められた頻度と同じ日数でテレワークを実施している人がどの頻度も6割以上を占めていました
たとえば週3日までテレワークが認められている人たちの約6割が、実際に週3日間テレワークを実施しているように、制度に従って働いていることがわかります。本来テレワークが週3日認められている人であれば、テレワークを週0~2日行うという状況も制度の範囲内になります。
一方で、頻度の制限がないと回答した人のテレワーク実施頻度にはばらつきがありました。これにより、あえてテレワーク頻度の制限を設けなくても、極端に出社しなくなったり、毎日出社する人が増えたりする訳ではないようです。


デバイスやコミュニケーションツールの
整備状況は?

ここからは、テレワーク制度実施のために導入されているデバイスや、コミュニケーションツールの整備状況について見ていきます。
ノートパソコンはコロナ禍以前より7割の人が支給されていて、さらにコロナ禍によって2割以上の人が支給されました。その結果、回答者の9割以上に支給されている状況になりました。

また、コミュニケーションツールについては、オンライン会議システムやチャットツールを導入している企業で働いている人が8割以上いて、そのうち5割以上がコロナ禍前から導入済となっていました。


まとめ

以上の結果より、テレワーク制度の導入時期はコロナ禍で恒久的な制度ができた人の割合は回答者の半数以上で、コロナ禍で一時的な制度の導入があった人も2割弱いました。コロナ禍を契機として一気にテレワーク制度の導入が進んだということが言えそうです。
またテレワークの頻度については、制限を設けていない企業が半数以上でした。
頻度の制限がない人でも、極端に出社したりオフィスに来ないとうような状況にはなっていませんでした。このことから一律にテレワーク頻度を設定する必要があるかについては議論が必要になるといえるでしょう。
テレワークをする際のノートパソコン、オンライン会議システムやチャットツールは、コロナ禍を期に導入が加速し8割以上の人が使える状況となりました。このことからも、テレワークを実施する際には、制度と合わせてデバイスやツールを整備していく必要があると言えます。
次号(7月公開予定)では、テレワークをする上での課題について紹介します。


今後希望する働き方や、オフィスや自宅の環境変化など、詳しい調査結果については、こちらからダウンロードしてご覧いただけます。

Research: 嶺野あゆみ、池田晃一、鯨井康志、森田舞(オカムラ)
Edit: 吉田彩乃
Illustration & Infographic: 浜名信次、藤井花(Beach)
Production: Plus81 inc.